自動車運転過失傷害とはどんな法律なのか、問題点は?
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2007年5月17日に「自動車運転過失致死傷罪」が創設され、6月12日にスタートしました。それまでは、過失により人身事故を起こした場合、「業務上過失致死傷」(刑法211条1項)という法律によって裁かれていました。業務上過失致死傷とは「業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする」というものです。それを今回、交通事故に関する罪を分離し、「自動車運転過失致死傷罪」が設けられました。自動車運転過失致死傷罪とは「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる」というものです。
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『酒を飲んで運転し、死亡事故を起こしても、軽い刑しか与えられないのはおかしい』という世論の高まりを受け、2001年の刑法改正で「危険運転致死傷罪」が創設されました。しかし、危険運転致死傷罪を適用するには、「正常な運転が困難」であることを立証しなければなりません。その立証は非常に難しいのが現状です。そのことを知っている悪質なドライバーはは酩酊度を確認されないように現場から逃げようとする者が増加していました。
そうした背景から、今回の刑法改正は、「業務上過失致死傷罪」(懲役・禁固5年以下)と「危険運転致死傷罪」(死亡させた場合は懲役1年以上20年以下、負傷させた場合は15年以下)の間にある大きなギャップを埋めようとして施行されました。飲酒運転によって死傷事故を起こし、道路交通法と自動車運転過失致死傷罪を併せてとわれたなら、酒酔い運転の最高刑は現行の懲役7年6ヵ月から10年6ヵ月に、酒気帯び運転は懲役6年から10年になります。
こうした改正によっても、危険運転致死傷罪とのギャップは埋まらないのが現状です。
なぜなら、本当は「危険運転致死傷」なのに、「自動車運転過失致死傷」となるケースが多いと予想されるからです。その予想の根拠は、危険運転致死傷罪の適用要件である「正常な運転が困難な状態」という立証は難しいということにあります。
測定時の呼気アルコール濃度や、目撃者の証言、事故の初期捜査がきちんと行なわれたかなどによって、仮にまったくの同じケースの事故があったとしても、一方は「自動車運転過失致死傷」、他方は「危険運転致死傷罪」になり、罪状や量刑がまったく違ってしまう可能性があります。
また、福岡で子ども3人を死なせた飲酒運転のドライバーが、飲酒運転の発覚を恐れていったん事故現場から逃走しましたが、その例が示していますように、体内からアルコールが抜けてから自首したり逮捕され、危険運転致死傷罪(最高刑懲役20 年)の適用を逃れようとする事例が増えています。
ですから、逃げ得を許さないためには、自動車運転致死傷罪の刑期の引き上げと、危険運転致死傷罪の適用要件の緩和が必要といえそうです。